岩内さん、フォーカス!
小日向望は走っていた。



隣の市の廃ビルで、何十人も集まれるっていったら、彼処しかない!



日がかげろうとしていた。

目的地に近付くにつれて、人影が疎らになってゆく。





廃ビルの頭が見える。





もうすぐだ…!





そう思った時、視界がぐるりと回って、仰向けに倒れた。



なにが起きたんだ?



「小日向くん、だよね」



頭の上から呼びかけられる。

起き上がると、見知らぬ少年がいた。



「貴方は…?」

「僕は外村好男。外村英雄の弟だ」



さっきの、無線の相手か。



好男は立ち塞がった。



「君を、このまま、あのビルに突入させるわけにはいかない」




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