岩内さん、フォーカス!
外村英雄は熊の様な大男を投げ飛ばした。

男は意識を手放し、身体はだらりと地に伏した。

周りを見回す。



…優勢ではあるが、相手も、冷静になってきたな…。

ここは、早くアタマを倒して、怯えさせて散らすのが得策だろうな。

アタマは小日向くんが…。





英雄は愕然とした。





そうだ。

アタマの相手をしているのは、小日向くんだ。

みたところ、彼には、武術の心得も、喧嘩の経験も、無さそうだった。

そんな彼を、一人で、アタマに向かわせてしまった。

勝てる見込みは、薄い…!





「入江さん、碓氷さん!」

「はいよ!」

「なに?」

「ここを、任せてもいいかな!?」





二人は竹刀を掲げた。





「恋ヶ窪。小日向くんの加勢に行こう!」

「すぐに行くわ!」



背を向け、駆け出す。

愛歌はキレの鋭いハイキックで男を倒し、英雄の後に続いた。



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