ふわり、ひらり

羨みと憧れ

「望月くん!!」


彼と此処で会うのは、もう何度目になるのだろうか


初めて会った時と比べて、今の私たちの距離は随分縮まった気がする

望月くんも、良く笑うようになった気がする

...自惚れかも知れないし、それに彼は、もともと優しく笑う人だったけどね


「雪乃、今日はこれ持ってきたんだ」


望月くんの手の中にあるのは、望月くんの友達が図書室で借りてきたという本

私は水色のブックカバーがかかった本をそっと受け取り、それをぺらぺらとめくって中身を確認する


「...何?オレ、そんなに信用ない?」


もう何度か望月くんから本は借りているけれど、その度に私は確認する

BL小説じゃないか


私はあのときのことをまだ根に持っていて、もう二度とあんな本は見たくないから、毎回確認する

あの後から借りた本はどれも普通で、むしろ私の好みにぴったりだった

望月くんのお友達と、気が合うのかもしれないな






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