ふわり、ひらり
私は今、望月くんの病室、108号室に来ている

もちろん、部屋の主、望月くんも一緒に


「・・・わぁ」


「何、雪乃の部屋と造りが違う?」


「ううん、そうじゃないの」


私は望月くんの病室をぐるりと一回転してみる


「...望月くんらしい部屋だね」


私の部屋と同じはずなのに、なんだか少し違う

望月くんはベッドに腰掛けて、初めて会ったときのように、自分の隣をとんとん、と叩いて私に座るよう促した

私は彼の隣に浅く腰かけて、もう一度病室を見回す


「...相部屋の人、いないの?」


「あぁ、ここはオレ1人しかいないよ」


「へぇ、そうなんだ」


「雪乃の部屋にはいないの?」


とくりと胸が鳴る

一瞬背筋がひやりとした


「..うん、いないよ


そう、いない

いなくなっちゃった
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