ふわり、ひらり
なんだろう、なんなんだろう

なんでこんなに、つまらないんだろう


いつもだったら、こんな気持ちにはならないのに

何か物足りない感じがする


「ここの方程式を・・・・」


今は数学の時間

先生の話を聞き流しながら、窓の外を眺める


校庭には、体育をしている生徒と先生が群がっていた

靴の色から見て、おそらく3年生


何気なく、木の下のベンチを目で探す

体育の授業のとき、私はいつもそこで見学をしている


一人ぼっちで、日陰に入って、日向で走り回るみんなをただただ眺める

楽しい、と思っていた


でもきっと、今の私なら、つまらないと思うだろう


・・あれ?

いつも私がいるベンチに、誰かが座っている


「望月、くん」


口から漏れた息は声にならないまま、すぅっと空気に溶けていく


そうだ

3年生の授業だもん、望月くんがいたって可笑しくはない

ちょこん、とそこに座る望月くんを見つめてみる


さすがにこの距離だから、良くは見えないけれど

望月くんは、楽しそうに見えた



< 32 / 42 >

この作品をシェア

pagetop