ねぇ、
944

1





私は自宅への帰路である、黒滝商店街を歩いていた。


「ママ!ママ!僕、あのケーキがいい!」
「はいはい、じゃあそのケーキ買っていこっか」
「やったあ!」


コツコツ…


「パパ!未衣にサンタさんちゃんと来るかなー?」
「おお、ちゃんと来るぞー。未衣はいい子だからな」
「本当!?未衣ね、おままごとのセット頼んだの!あのね、それでね、…」


コツコツ…


「ねぇ、今日バイトの休み取れたの?」
「もちろん、今日はクリスマスだからな。お前と祝うために無理矢理休み貰ってきた」
「あはは、嬉しい!店長怒ってるかもね」


いつもは寂れて誰もいないような商店街。
そんな商店街がなんでこんなに賑わっているのかわかった。


私は、曜日感覚どころか日にち感覚すらない。
しかし、すれ違う人たちの会話を聞く限り、今日はクリスマスかクリスマスイブなのだろう。




< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop