‐勇者とエリスの塔‐


翌朝。

起きたらもうレードいなかった。

……………いや、いた。


「おっはよう、エリス!!!飯作ったぞ!!!」

「うん……、ありがと。………って何人のキッチン勝手に使ってんのよ。」

「いいじゃないか!昨日エリスのキス貰ったから、そのお返しってことで!!」

「う、う、うるさいっ!!!!!!!」

顔を真っ赤にしてエリスが怒っている。

いや、照れている。


そのころゴブリン達は…

「姫、完全に私達のことわすれてますよう…。」

悲しむクマ。

「まあいいじゃない。姫幸せそうよ?」

慰める鉢。

「姫にもいい人ができてよかったですなー」

泣きながら言うゴブリン。

「あなた達……。聞こえてるわよ。」

エリスは鬼のような顔で見ている。

めっちゃ怒っている。

「ひいいいいいいい……!」

ゴブリン達は一目散に逃げていった。

「もう……。」

「そんなに怒らなくてもいいじゃねーか?」

レードに話しかけられ、後ろを振り向いた瞬間、

「ちゅ…!」

「!?!?!?……」

「お姫様のキスいただきっ!!!!」

「ちょ……!?何すんのよ!?」

顔を赤らめてレードを追いかけるエリス。
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