SWEET BUTTERFLY


思考を止めた真っ暗な頭の中に小さく浮かんだ『死 』の文字。


「大翔!大翔っ、目を開けてっ!!」


怒鳴り付けた私に


うっすら瞼を開けた大翔が私を見つけた。


「小春…?いたの?」


「いるよ!!いるに決まってんじゃない!!

大翔がベランダにいる時に声をかけたじゃん!」


「…そう…だったっけ。」


「何やってんのよ!!

わけわかんないよっ!!」


大粒の涙がすごい勢いで大翔の頬を濡らしていく。


「…飛び降りた瞬間、マジ…怖くなった…

死ぬのって…怖いな…。」


「縁起でもないこと言わないでよっっ!!」


遠くで誰かが呼んだ救急車のサイレン音が聞こえる。


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