SWEET BUTTERFLY
「母さんっっ!!」
あごの骨が骨折しているのにも関わらず大翔が大きな声で怒鳴り付けた。
「だって、この子が落としたんじゃなきゃ…
なんで…なんであんたがベランダから落ちなきゃいけないのよ…」
全身を震わせて目に涙を浮かべたお義母さん。
ここに運ばれる救急車の中で意識があるのにも関わらず大翔は私に何も言おうとはしなかった。
私だってお義母さんに負けないくらい動揺していり。
治まらない足の震え。
ベランダでの光景が今もなお、頭の中で鮮明に繰り返されていた。
「…小春と二人で話がしたいんだ。」
もう、お義母さんは何も言わずに静かに病室から立ち去った。