SWEET BUTTERFLY



遊び相手に大翔を呼ぶのは知っていた。


だけど安心したい時はいつも私の腕の中にいた。


小さな頭を撫でながら


私は


母親として


何も見えていなかった事に気付かされたんだ。



大翔の手を強く握りしめたまま眠るこの子が


最近まったく私に笑顔を向けていない。



それどころか、いつも私の機嫌を伺うように少し離れた場所から私を見ていた。


その目がいつも不安そうで


それなのに


私は見て見ぬふりをして


頭の中は小関君でいっぱいだった。



まともに抱っこをしたのはいつだろう…。



何度も何度も千歌の髪を撫でる。


最初に家族に背を向けたのは大翔じゃなく…


私のほうだったんだ。



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