SWEET BUTTERFLY
第四章
エピソード10
「…やっと会えた。」
小関君の震える腕の中で優しく聞こえる彼の鼓動を聞いていた。
結局、私はやっぱりここに逃げて来たんだ。
「…ずっと連絡をできなくてごめんね。」
「いいよ。あなたが俺のもとへ帰って来てくれるなら…」
彼の背中にそっと腕を回して、その優しくて頼りない存在に涙がこぼれてしまいそうだった。
「…お願いがあるの。」
「何?」
「私、もっと小関君の事を知りたい。
私にあなたの事を教えて?」
「…俺のどんな事を知りたいの?」
「なんでもいい。
私はまだ知らない事が多すぎて
たくさん知りたいの。私と会うまでの君の事を。」