SWEET BUTTERFLY
気がつけば大粒の涙が大翔のパジャマを濡らし
行き場の無い大翔の手が一瞬だけ私の背中に触れていなくなった。
「俺は何も無い、変わらない日常が幸せなものだと思ってた…」
「だからって関心がなくなるのとは違うよ…」
「俺がお前にツライ思いをさせてたの…か?」
納得のできなさそうな声色が少しだけ震えていた。
「私の中の男が誰なのか聞いていたけど…
大翔は私を女だと思ってる…?」
その質問に黙り込んだ大翔は小さなため息をついた。
「…自分のことって何も見えてないもんなんだな…
俺はずっとお前を幸せにしているつもりだった。
俺が帰って来たらおもしろくなさそうな顔をするお前を、暇な専業主婦のわがままだと思ってたし…」