SWEET BUTTERFLY
エピソード5
ため息を一つつきながら自宅マンションを見上げると、どの窓からも明かりが確認できなかった。
「まだ22時すぎじゃない…もう寝てるわけ?」
物音を立てずに静かに家に帰ると
寝室で千歌と大翔が寄り添うように寝ていた。
「このバカ男…
奥さんが若い子に言い寄られた事も知らないで暢気なものね…」
少しだけ期待していた。
それでも私の帰りが遅くならないか心配して待ってくれているんじゃないかって…
勝手な期待だけど…
彼が結婚生活の中で私の期待に応えてくれた事なんか一度も無い。
勝手に期待して、期待が外れて傷ついて
そんな無意味な事を私は何度してきただろう…
期待するだけ無駄なのに…。