SWEET BUTTERFLY


「ママ?どうしたの…?」


もはや、今の私に千歌の声なんか届いていなかった。


慌ててハサミを手にしたものの…嫌な予感が的中していたら…


そう思うと封を切れない臆病な自分がいる。


「離婚」を言い出したのは私だ…


大翔はあの時、離婚するなんて言ってない。


震えるハサミがゆっくり封を切る。


封筒の切れ端を千歌が広いあげると「千歌、えらいから捨ててきてあげる。」と私の機嫌をとるような声が遠くで聞こえた気がした。


私の思い過ごしに決まってる。


震える指先で中の紙切れを引っ張り出すと


私だけ時間が止まったように


身動き一つとれなくなっていた。



< 78 / 200 >

この作品をシェア

pagetop