SWEET BUTTERFLY


そう


私の淡い期待なんて


いつも簡単に裏切られてしまうんだ。


それは大翔との結婚生活で痛いほど身に染みて覚えた事なんだ。


期待するだけ無駄。


期待する事が無意味であること


いっそ、全てを諦めながら生きていけたらどれほど気持ちが楽になるんだろうと…


そんな事を考える自分が悲劇のヒロインのようでもあった。


だけどやっぱり手放す事のできなかった僅かな期待。


悲劇のヒロインを救い出してくれるのは


悪い魔法使いの呪いで心を悪魔にされた王子様がお姫様との愛で呪いを解き、颯爽とお姫様を助けに来る。


子供が考えそうな…


そんな童話のような…


そんな夢のような…


そんな期待を


どうして捨てる事が出来ずにいたんだろう…。



<離婚調停の申し立て>と書かれたインクが涙で滲んでいった。


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