SWEET BUTTERFLY
いつもは微塵も感心をしめさないくせに
こういう時だけキッチリとアンテナを張らせるんだから
油断も隙もありゃしない。
「そりゃそうよ…
あんたと別れたら新しい恋をして
こんな結婚生活を無かった事にするんだから
今から少し気合い入れなきゃね」
横目で彼を盗み見ながら冗談にもとれる口調で笑った私に
「あっそ。」と、つまんなさそうに呟いた大翔は黙って寝室にこもった。
もしかしたら
私が知らないだけで
大翔は意外と敏感に周りを意識しているのかもしれない。
どんな事があっても
小関君の事を知られるようなことがあってはならない。
緊張で握りしめた手に嫌な汗が滲むと
閉ざされた寝室のドアを見つめていた。