kiss


それを言うと、秋継は出て行ってしまった。

あたしは屋上に取り残されたような感覚になった。


秋継の言葉が頭の中でぐるぐる回ってる。


『お前が俺から離れて行ったんだ』


そうか、あたしが離れていったんだ。


秋継も、ずっと気にしてたのかな?

あたしだって、本当は近づきたかった。

もっと話していたかった。


でもあのころのあたしは、周りの目ばかり気にしていた。

恥ずかしかったの。

秋継は何も言わなかったから、全然平気なんだって思ってた。

でも、秋継も本当は気にしてたんだね。

気にして……くれてたんだね……。


いつの間にか、地面がぬれていた。

あぁ、泣いてる。

あたし泣いてたんだ。
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