kiss
あたしはしばらく屋上で泣いていた。
涙が止まらなかった。
嬉しいんだか悲しいんだか、よくわからない感情が渦巻いて、わけがわからなくなった。
泣き終えた頃には、星がチラチラ見え始めていた。
「帰りたくないなぁ……」
泣きはらした目、絶対に心配される。
時間を確認するためにケータイを見ると、結奈からメールが入っていた。
『雪那、授業でないの?』
『雪那先帰っちゃうよ?』
……今は、誰かと一緒にいたいと思った。
『結奈、今から家行ってもいい?』
すぐに返信が来た。
『いいよ、おいで』
あたしは、重たく感じる体を起こして、結奈の家を目指して学校を出た。