kiss


あたしはしばらく屋上で泣いていた。

涙が止まらなかった。


嬉しいんだか悲しいんだか、よくわからない感情が渦巻いて、わけがわからなくなった。

泣き終えた頃には、星がチラチラ見え始めていた。


「帰りたくないなぁ……」


泣きはらした目、絶対に心配される。


時間を確認するためにケータイを見ると、結奈からメールが入っていた。


『雪那、授業でないの?』

『雪那先帰っちゃうよ?』


……今は、誰かと一緒にいたいと思った。


『結奈、今から家行ってもいい?』


すぐに返信が来た。


『いいよ、おいで』


あたしは、重たく感じる体を起こして、結奈の家を目指して学校を出た。
< 26 / 67 >

この作品をシェア

pagetop