kiss
結奈の家はこの学校から近い。
自転車で五分もない距離。
結奈自体がこの学校が家から一番近いから選んだらしいんだけど。
すぐ家について、結奈を呼び出す。
そういえば、今日会うのは朝以来かもしれない。
すぐに家から出てきた結奈は、あたしを見て言った。
「何の妖怪目指してんの、アンタ?」
「いやこれ、泣いただけなんだけど……」
結奈、ヒドい……。
目が腫れているらしいあたしを見て妖怪だなんて……。
「とりあえず上がんな。氷持ってくから先部屋行ってて。事情はそれから聞く」
「ありがとう」
秋継のことは、誰にも言ってない。
だから、話すのはたぶん結奈が初めてになる。
そうなると、みんなに話さなきゃいけなくなるのかもしれないけど。