kiss


「まぁ、このまま考えててもわからないと思うし、今日は帰って早く寝て忘れなよ」

「……そう簡単に忘れてられる?」

「大丈夫、アンタなら忘れられる!」

「ヒド!!」


本当にそう思ってるわけじゃない。

元気付けてくれてるの、ちゃんとわかってる。

あんまり考えすぎるなって。


今は、考えすぎてもしょうがない。

過去のことだもん。


結奈に会わないでそのまま帰ってたら、今頃ずっと考えてたままだったんだろうな……。

来てよかった。


それからあたしは夕飯をご馳走になってから、結奈と約束をした。


『今日の話を、他の友達にも話すこと。……そして、巧とちゃんと向き合うこと』


誰もが幸せであればいいのに、何かを得れば何かを失う。

当たり前のことだけど、みんなそれを恐れてしまう。


両方とも得ることが出来ればいいのにね……。
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