kiss


キス……?


「シリアスな話をする時に非常階段に行く癖、そろそろ考え直した方がいいかもね」

「非常、階段……て」


……巧にキスされた時、見てた……の?


「勘違いしないで。俺が体育で外出てたからたまたま見えただけ。……それに、非常階段見る癖もついてたし」

「……え?」

「雪那が時々非常階段に行くから、俺はその姿を見てたんだよ。遠いから声は聞こえないけど、動きは見える」


だから、キス見られてたの……?


「……それが気に食わなかったんだ」


鋭くあたしを見つめる瞳。

怖いくらいに、静かな怒りが伝わってくる。


腕を引かれ、彼が歩くスピードと自然と同じになる。

向かう先は……もうわかってる。


秋継の家。

秋継の、部屋。
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