kiss
「そうしているうちに、俺のポジションは見守る方に定着してきて、せめてもの思いで同じ高校を受験した」
「え、じゃ、偶然とかじゃ……」
「違うよ」
秋継は、苦しそうに笑って、言った。
「いつでも話しかけてもらえるように、いつでも見守っていられるように、そばにいたくて、同じところにしたんだ」
偶然なんかじゃなかった。
彼はいつでもあたしの事を考えててくれていたんだ……。
「雪那は?」
今度は、あたしの番……。
「秋継、ごめんね」
今までずっと、ごめんなさい。
「あたしも、ずっと話したかった。本当はもう……笑って話しかけてきてくれることもないのかなって……」
誰にも話せなかった、あたしの好きな人。
本当は話したかった。
好きな人の話題って、ふとした瞬間に思い出してしまうものだから。