kiss


あたしの唇にそっと置かれた、秋継の人差し指。

目の前で彼は、困った表情をしながら微笑んでいる。


「その先は、ダメだよ」


あたしの中の何かが崩れていく音がした――。


ダメ……?

何で?言葉にする事すら、許せないの?

そんなにも……秋継の怒りは強いの……?


「秋っ……」

「その先は……」


秋継は、あたしにふれたその人差し指を、自分のそれに当てて言った。


「その先は、俺に言わせて」


え……?


「雪那亅

「……」

「せつな」

「あき、つぐ……」


溢れる涙を堪えなきゃ。

あたしはまだ、その言葉を聞いてないじゃない。


「雪那、笑って?顔見せて?」


ドクンドクン、心臓が速く鳴る。
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