kiss
それぞれの居場所
着いた先は、いつも通り、青空の見える非常階段である。
ここから教室は近いし、この階段を使う人はあまりいない。
鍵を閉められても、外から回り込んで入れるし、あたしの大好きな青空が見渡せる。
あたしの好きな場所。
以前、功と一緒に屋上にいて、鍵を閉められてしまったことを思い出す。
悩んでいたことを一緒に悩んでくれて、一緒に怒られて、一緒に教室に戻って、一緒に笑った。
あたしにとっては、親友同然な、功なんだ。
「昨日、ごめん……」
先に口を開いたのは、あたし。
功は俯いたままだ。
「キスのこと、あれ、秋継だった」
「殴った?」
「……殴らなかった」
「……そっか。やっぱり俺ってその程度だったんだな」
功には殴っちゃったもんね。