kiss
「そういうわけじゃないけど……」
「だって、嫌だったんだろ?殴るほどに」
「あれは、あたしの気持ちを無視してキスして来たと思ってたから。功のこと、すごく大切な友達だと思ってたから、ショックだったんだよ」
「……」
「でも、違った。功はごまかしてただけだった。知らない人にキスされたと思ったら、あたしがもっとショックを受けると思って、自分だって言ってくれたんでしょ?」
実際あの瞬間、あたしは怖くなっていた。
知らない人に、そういうことをされたかと思うと、怖くなった。
「そこまでしてあたしを守ろうとしてくれた人を、あたしは失いたくない」
秋継とは、また違った、『好き』。
でも、それを伝えることは、今は出来ない。
「お弁当も、秋継があたしを心配して持ってきてくれたものだった」
謎を、少しずつ解いていく。
「秋継とあたし、幼馴染みなの。でも……中学の頃からあたしが離れて行っちゃってて、今までほとんど話せなかった。心は、ずっと秋継に向いてたし、秋継も、そうだって……」
「両想い、ね」