鎧―キミヲ守ル―
私はデジカメから目を逸らす。

デジカメには、私と瞬斗のキスシーンが写っていたから。



「今の翼、めっちゃ可愛いよ。幸せそう」



「聖…」



聖に言われると、胸に響く。

私は聖の手とデジカメを両手で握る。



「聖?」



「何や?」



「幸せ…」



聖に体を預け、私は空を見上げた。

この空に叫びたい。

“私、幸せ”って。

…お母さん、私、幸せ。

閉会式に参加せず、私は空に笑う。



「―――優勝は、3年A組です」



「……あ…、」



本当に優勝してしまい、思わず立ち上がる私。
< 168 / 210 >

この作品をシェア

pagetop