鎧―キミヲ守ル―
タイミング良く来た電車に乗り込み、私は窓にかじりつく。

都会から10分で田舎の風景に変わるんだもん。

瞬斗は私の肩に顔を乗せながら、窓の外を指差した。



「あの山を過ぎたら、海が見える」



「本当に?」



私は海を見た事がない。

テレビや雑誌でしか。

地元からこっちへ来た時は飛行機だったし。

生まれてから10何年も海を見た事ない人なんて居るのかな?

私は車窓から見える海に感動して居ると、瞬斗が私の手をキツく握った。

“離さない”とでも言うように。

私が瞬斗の肩に凭れながら海を見てると、「降りるぞ」と言われた。
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