鎧―キミヲ守ル―
「前に聖が言ってた。“翼は海が見た事があらへん”て。だから、俺が連れて来たかった。お前の思い出の中に、一つでも多く、居たいからな」



「瞬斗…」



瞬斗は私の頭を自分の方に引き寄せる。

私は涙を流しながら、瞬斗のシャツを掴んだ。

瞬斗は私の涙に気付けば、唇で涙を拭った。



「しょっぱい…」



「ンッ…―――」



触れるだけの長いキス。

唇が離れると、私は瞬斗に「ありがとう」と伝えた。

瞬斗は無愛想だと思ってた。

私の為に、海に連れて来てくれるとも、思ってなかった。

瞬斗にしか湧かない想い。



「「…愛してる…」」



それは、瞬斗も同じだったみたい…。
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