鎧―キミヲ守ル―
「…ま、最後は俺が殺るから。
何も心配はいらんけど、翼が気ぃ緩めんように頼む」



「……本当に、殺れるのか?」



「殺るまでだ」



準の問い掛けに、聖は鋭い眼差しを向けながら答えた。

私は写真に手を伸ばし、クシャッと握り潰した。

瞬斗の膝に座ると、身体に回された腕の強さに気が付いた。

見えない力に込められた思いが伝わり、溢れそうな涙を堪えながら、ライターで写真に火を点けた。

灰となって空に舞って行く写真。

私は上を向く事が出来なかった。
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