鎧―キミヲ守ル―
―聖 SIDE―



「何だ、あの強さ…;;」



翼に蹴られた胸を擦りながら、俺らが座るベンチに来た飛鳥。

翼は今、俺らから少し離れ、塀に凭れながら煙草を吸って居る。



「“彼氏”って単語にキレなかったか?」



峡が煙草の封を開けながら言って来た。

俺の煙草は翼に取られた為、瞬斗から一本、貰った。



「翼は16歳の誕生日に、彼氏を自分で殺ったんや」



俺の言葉に、みんなは絶句した。

当たり前だろうな。

普通、彼氏を殺る女なんて居ないだろう。



「お前らを信じて言うが、翼の彼氏は“信楽豹ーシガラヒョウー”だ」



またしても、言葉にならないとでも言うような表情をした6人。

“信楽豹”は、裏の世界では、名の知れた人物だった。
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