鎧―キミヲ守ル―
「瞬斗が私を殺すんじゃない?私を振ろうとするからいけないのよ…」



女は涙目で瞬斗を睨む。

瞬斗は違う所を見ていて、気付いてもいない。

けど、煙草を吸い、吐き出した紫煙を辿る目は、何かを考えてる目だった。



「は?お前、瞬斗にフラれたわけ?」



準が女にそう訊くと、涙を溢しながら頷いた。

峡・飛鳥・航も、“信じられない”というような顔をしている。

私の失恋が確定し、私は聖の背中に凭れ、静かに涙を流す。

瞬斗と彼女は、誰が見てもきっと、相思相愛だったんだ。

…羨ましい…。

瞬斗に想われる彼女が、本当に、羨ましかった。
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