鎧―キミヲ守ル―
キツく瞬斗の制服の裾を握る。

峡は私の頭を撫でたまま、瞬斗の肩越しに前を見る。



「「「『…咲子…』」」」



声を揃えた6人。

駐輪場から、私たちの元へ来た聖が、私たちと咲子さんの間に立って居る。



「何しに来た」



瞬斗ではなく、哲司が訊く。

私は何となく、来た理由がわかった。



「瞬斗に会いに来たの。それがいけない?」



…やっぱり…。

私の胸には、怒りより悲しみが溢れる。

瞬斗が……咲子さんの元に行ってしまうんじゃないかと、不安という恐怖に潰されそうだ。
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