奈落
「────ゆな、
キティちゃん好きなんだ?」
そう笑って、
ガラスの中のキティちゃんに
焦点を合わせるりょうたがいた。
………ウィーン…。
クレーンが再びキティちゃんを狙う。
山積みの中から狙うゆなとは違い、りょうたはホールに近い所を狙った。
キティちゃんが器用にクレーンに引っ掛かる。
そして──…
───…カコン!!
「よっしゃ!!
キティちゃんゲットー♪」
「きゃー!!
りょうたすごいすごいすごいー!!超うまい!」
りょうたがキティちゃんを取り出し、ニコッと笑った。
「あげる♪」
「え?だって…」
「いいから。」
そう言うゆなに、
りょうたは問答無用でキティちゃんをゆなに手渡した。
「あ…ありがとう……♪」
「いいよ♪
初デートの記念に!安上がりでごめんな・・・。」
そんな・・・安上がりだなんて思うはずないじゃん。