一番星


彼も私が居たのに驚いたのか、目を見開いている。


でも驚きの表情はすぐに消え、無表情のままこちらへ来た。

正確に言うと私の隣。彼の席。


席に着いた彼は机の中を探って、ルーズリーフのファイルを取り出すと、持っていた鞄に入れた。




そして一息ついて、頬杖をついて、こっちを向いた。


ドキリ。

ずっと彼の方を向いていたから必然的に目が合うことになる。

反らそうにも反らせない。



まじまじとみた、彼の顔はやっぱり整っている。







「ねえ、」


「……えっ!?」



いきなり喋った彼に驚いた。

声が裏返る程に。



< 18 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop