一番星
彼も私が居たのに驚いたのか、目を見開いている。
でも驚きの表情はすぐに消え、無表情のままこちらへ来た。
正確に言うと私の隣。彼の席。
席に着いた彼は机の中を探って、ルーズリーフのファイルを取り出すと、持っていた鞄に入れた。
そして一息ついて、頬杖をついて、こっちを向いた。
ドキリ。
ずっと彼の方を向いていたから必然的に目が合うことになる。
反らそうにも反らせない。
まじまじとみた、彼の顔はやっぱり整っている。
「ねえ、」
「……えっ!?」
いきなり喋った彼に驚いた。
声が裏返る程に。