一番星




「傘、入れてあげるよ」

「………はあ…」

「雷怖いんでしょ?」

「え?」


怖くないと言ったら嘘になる。
けど、物凄く怖い訳じゃ……



「鳴る度、ビクッてしてる」

「ははは……」


苦笑いしかできない。

やっぱこわいもんはこわい。

さっきよりは心細くはないけれど。

それはやっぱり人と一緒にいるからなのか何なのか。




それに、傘に入れてくれると言っているし…。

掴みどころのないけど好意に甘えることにしようかな。

風邪引きたくないし。

この不確かな時期、八時にやむといっても実際分からない。




「ねえ、」


とりあえず彼の真似をして話しかけてみた。







< 21 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop