一番星
「傘、入れてあげるよ」
「………はあ…」
「雷怖いんでしょ?」
「え?」
怖くないと言ったら嘘になる。
けど、物凄く怖い訳じゃ……
「鳴る度、ビクッてしてる」
「ははは……」
苦笑いしかできない。
やっぱこわいもんはこわい。
さっきよりは心細くはないけれど。
それはやっぱり人と一緒にいるからなのか何なのか。
それに、傘に入れてくれると言っているし…。
掴みどころのないけど好意に甘えることにしようかな。
風邪引きたくないし。
この不確かな時期、八時にやむといっても実際分からない。
「ねえ、」
とりあえず彼の真似をして話しかけてみた。