一番星
本に視線を向けてた和妻はあたしの声でこっちを向いて、
「自転車、」
「……え?」
返ってきたのは挨拶とは全く関係ない返事だった。
自転車って………、ああ。
「学校におきっぱだよ。土日使わなかったし」
「今日乗って帰るの?」
「まあ、天気次第かなー」
「そっか」
多少の雨なら強行突破するつもり。
というか自転車のこと覚えてたんだなあ。
私ですら忘れかけていたのに。
まさに今。
………そういえば自転車のカギ持ってきたっけ。