一番星


一週間ぐらい経ったある日の四限目。


ついさっきまで霧雨だったのにいきなりサァァァァと…いや、ザバァァァァァァァと降る雨。

みんな外に釘付け。

えー、なんかやな予感。


「すぐやむよね、うん」

「……気休めの自己完結」

「だまらっしゃい」


鼻で笑う隣人。
ふいっと外に顔をそらされた。


最近、というかここ一週間で、一気によく喋るようになった。

分かったのは、地味に毒舌、そして地獄耳。

ボソッと呟いたこともキャッチしてくる。

そして鼻で笑われることが多々ある。



「ほら左じゃなくて前向けー」



自然と中断していた授業が再度始まった。


和妻はまだ外を見ていた。




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