一番星


和妻は卑怯な賭けは軽く受け流しておく。

20位入ったらラッキー、ぐらいの感じでテストに挑んだ。


手応えはそれなりにある。
張り出される紙に自分の名前があったら絶対写真撮るつもり。


「顔緩んでる」

「手応えあるんだもん」

「まだ1日目。油断大敵」

「帰ったら勉強しますよ、ええ。」



またあした、と言って教室を出る。

はずだった。


「なにかご用ですか和妻くん」

ベストの裾を掴まれて後ろが伸びてる。


「勉強見てあげる」

「そんな親切な事したら20位以内入っちゃう〜」

「きっと無理。」

「ええ‥‥。とりあえずお腹すいた」


使ったエネルギー取り戻さないと。



< 38 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop