一番星

その日の昼休み、ふらりと教室から消えようとする和妻のワイシャツをわしっと。よし、つかんだ。捕獲。

なんだよ、という視線を向けてくる。


「ジュース奢ります、お礼に。」

「やったね」


なんかもう、感謝でいっぱいなんだよっていう心うちを自販機までしゃべりまくった。


「これ、ずっと気になってたやつ。」

「うわ、高いの選びやがった」


好きなの選んでいいよって言ったら迷わず高いのを、ガコン。

夏限定!新発売!ってなんともありきたりなやつだった。


「そういえばさー、」

「んー?」

「昼ってどこいってるの?」


またどっかに戻る道中、気になることを聞いてみた。
てかほんとに気になってた。

あー、だの、んー、だの言いながら、こっち、っと教室とは反対に進んでゆく。


たどり着いたのは、食堂。
ああ。なるほど。
慣れた手つきで食券買って、おばちゃんにわたす。
出てきたのはボリューミーなセットランチ。




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