歪んだ目 短編
雨が降っている。



…音でようやく分かる。



手探りで窓を開けた。



窓から、身体ごと乗り出す。



目を閉じる。



ぼやける世界に別れを告げて。



肌には、雨粒の容赦なく当たる感触。



冷たく、そして確かな。






窓を閉じた。



顔を拭いた。



特に眼を、よく拭った。


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