校舎の中で
玉木を抱きしめたら


お前の心の叫びが少しだけ聞こえた気がした


震えていて


答えがわからなくて


必死に求めてもわからず


きっとお前の心は暗闇で一杯なんだろうな


でも一つはわかてるはずだ



「お前は一人じゃない



俺だって矢沢だって三ツ橋だっているだろ


それはこの頃お前が一番感じてるんじゃない?


だから幸せって頭ではわかってて


でもなんか心に引っかかってるからもやもやすんだよ



でもお前は一人じゃない



それは変わることのない事実なんだよ


だから大丈夫


いつか心から笑顔になれるよ」



俺は左手で玉木の体を抱きしめて


右手で頭を撫でた


少しだけ肩を震わせて泣くのを我慢してるのが伝わる


そんな玉木を守りたくて


泣いてほしくなくて


俺は左の腕の力が入っていく




「でも・・・


人はすぐに約束を守らないじゃない


壱だってあたしを守るって言ったよ


なのに……



なのに………



なんでよ…………」





俺のワイシャツを掴む



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