『金持ち心♀♂貧乏心』
「君なんだよ。全部」
櫂也は意味が分からず、首を傾ける。
「手を借りたのも、抱きついたのも、涙を落としたのも、楽しそうにしてるのも、美桜が少しずつ変わっていくのも・・・全部」
手を借りた。というのはパーティーのことを。
「抱きついたのは、あいつの咄嗟の行動ですよ?」
「咄嗟でも、今の美桜にはありえない。抱きついた後、我慢強い美桜が、今の性格で、初めて人の前で涙を流した。」
確かに、美桜は櫂也に抱きついて、櫂也だと気がついた後、一粒だけ涙を流していた・・・な・・・・と櫂也は思い出す。
「それに、美桜が捨てた物を探していた・・・楽しそうに。変えたのは君だろう?」
「俺は、契約で・・・変えようとしていたんです・・・」