『金持ち心♀♂貧乏心』
櫂也はそう言うと、意味深にストレッチを始めた。
「えっ・・・」
「俺、恋なんてしたこと無いし、全然分かんないけど、美桜が気になるんです。今も近づくのも嫌なお嬢様なのに」
櫂也は笑うと、跳躍をする。
「でも、美桜は、なんだか助けてあげないといけない気がして・・・・それがもし、お坊ちゃんにならなきゃいけないなら、なってもいいかな?って」
「・・・・・」
「美桜を早く捕まえなきゃ、タイムセールの品物より、早く無くなりそうですから・・・・」
櫂也は空き教室のドアを開けた。
「あいつに、ちゃんと、安心して眠って欲しい。俺が今思っていることは、それだけなんです。幸せになって欲しいとか、そんなスケールが大きくないんです。だから、これは恋では、無いでしょう?」
櫂也はそう言うと、空き教室から出て行った。
「もう、十分恋だと思うんだけどな・・・」
來斗は首を傾げながら、そう呟いた。