『金持ち心♀♂貧乏心』
羽美は櫂也から離れ、両手で口を隠す。
櫂也は言葉を聞き逃したりはしていなかった。
「手配?なんの話だ」
「何でも、無い。何でも無いよ」
「羽美」
羽美は目に涙を溜めて、櫂也の肩を掴んだ。
「大道寺美桜が悪いんだから、櫂也に近づいて、その上、櫂也を利用しようとしてるんだよ絶対!だって大道寺と西園寺がくっつけば、皇堂なんてへっちゃらに、潰せるもの・・・・だから」
「美桜はそんな奴じゃない。」
「そんな奴じゃない?嘘よそんなの!櫂也騙されてる!だって実の兄を潰してでも、大道寺の頂点に立とうとする女よ?絶対そうに決まってる!」
「あいつには、あいつなりの理由があったんだ。俺は知ってる。だからそうじゃない。あいつはそんなことを考えてない。第一、あいつは俺のこと大嫌いだしな」