『金持ち心♀♂貧乏心』
羽美は突然に、櫂也の唇を奪った。
「羽美?」
「じゃあ、何で?何で大道寺美桜はあんたにキスなんかしたの?どうして櫂也は、私の気持ちに気づいてくれないの?」
「羽美・・・・」
「私、櫂也がお兄ちゃんだなんて思ったこと、一度も無い。櫂也に想いを寄せてる子は片っ端から潰していった・・・・なのになんで、大道寺美桜は庇うの?ねぇ、好きなの・・・・?」
羽美は櫂也をずっと見つめていた。
「大道寺美桜が好きかなんて分かんねぇーよ。でも俺は、セコイ手を使う、西園寺羽美は大嫌いだ。お前は俺の妹なんかじゃない。最低最悪の女だ」
羽美はボロボロと泣きだして、櫂也を見ていた。
「羽美。確かに俺は貧乏の時、お前のために頑張っていた。でもそれは家族だからだ・・・・。お前を女として見たことは一度も無い。ただの妹だ。その家族という愛情は一番に注いでいるつもりだけどな」
羽美は病室のドアの取っ手に手をかけた。
「変わったね。かいや・・・お兄ちゃん」