『金持ち心♀♂貧乏心』
それは、羽美の精一杯の強がり。
「お兄ちゃんか・・・・」
羽美がお兄ちゃんと言うのは、初めてのことだった。
「お見舞い」
羽美が開けっ放しにしていたドアから、また一人、やってきた。
「皇堂莱華」
「どうして、美桜が好きか、分からないの?」
「聞いてたのかよ・・・。」
莱華は、花瓶に花を入れた。
「長期入院しろってことか?」
「自分の想いが分からないなら、ゆっくりここで入院して、気持ちを考えたほうがいいって事。美桜があなたにキスをするっていう行動は、計算外なんだから。」
「お前、いつからいたんだよ・・・・」
莱華は笑うと、病室から出て行った。