『金持ち心♀♂貧乏心』
美桜は化粧を直してもらい、犬養の運転する車に乗り込んだ。
「もし、トウノさんが良かったら、犬養の車に乗ることも無いのかしらね」
「そうなりますね・・・」
「したら、犬養?必ず全員の職員を、お母さん達のところへ連れて行って。または、別のところまで」
「かしこまりました」
美桜は薔薇園を卒業した。
あの後転校をやめたのだ。
もちろん学園長は文句なしで、美桜は薔薇園の過去最高生徒で、学園に名を刻んだ。
「彼に出会ってね。たくさんのことに気がついたの。すべて金持ちと言える事じゃ無かったけれど、お金や、一日一日が凄く、退屈じゃないってことにも気がついた。彼のおかげで、夢だって見なくなった。感謝しているの。でも私は手助けしない。彼は嫌な顔をするでしょうから」
「そうですね・・・彼なら、自分の足でここまで来そうですからね」
「でしょう?」