『金持ち心♀♂貧乏心』
______________
美桜は呼吸を整える。
高級ホテルのレストランを貸しきってまでのお見合い。
「ここまでしなくたっていいのに」
美桜はそう呟くと、レストランに入る。
ゆっくり歩くと、お見合い相手の背中が見えた。
背中だけだと、凄く若そうだ。
美桜は深呼吸をすると、背中の人に告げた。
「さっそく、お誘いくださったのに、ごめんなさい。私には忘れられない人がいます。だから、ここで食事も結婚も出来ません」
美桜は、息継ぎなしで言った。
「相手の背中を見て、言うのは、失礼なんじゃないですか?」