『金持ち心♀♂貧乏心』
犬養もついに満面の笑みを浮かべ始めた。
この人の笑顔は、いいことが起きない。
お手伝いは、逃げ出したい気分でいっぱいだった。
「犬養さん。あの、私定時なんで、帰っていいですか?」
無表情なお手伝いが空気を読まず、そんなことを言い出した。
「い、井上さん?お嬢様に対抗できるのは、井上さんしかいないのよ?」
「しかし、条件以上に働いても、お給料は変わりませんので」
他のお手伝いの言葉に、無表情で答える井上。
「い、犬養さん。井上さんを今、帰すのは・・・」
「お給料が倍になるのでしたら、いいですが・・・・」