『金持ち心♀♂貧乏心』
「たまたまだろう?」
「そうでしょうか。私は大変楽しみです」
櫂也は西川の言葉が分からなく、眉をひそめた。
「大道寺美桜さまは、大金持ちを象徴するようなお嬢様でございます。そして、お金持ちなのに庶民な櫂也さま。お二人が絡む姿を想像すると、とっても微笑ましいというよりも、面白い絵図でございますね」
「俺は、あんなお嬢様、お願いされても嫌だな・・・。いくら、西園寺にお返ししたくてもさ」
櫂也は、流れ行く街を見て「戻りてぇーなー」と呟いた。
「櫂也さま。降りますか?」
「西川?」
車を止めて、後部座席を西川はゆっくりと開けた。
「先約がおられるようですが、かまいませんよね?」
「あぁ・・・。この公園・・・。」
「櫂也さまが東野櫂也の時、住んでおられた街、公園でございます」